第2回 柔道事故勉強会 〜軽視される子どもたちの《命》〜 (前)
〔仮定3〕 日本が「柔道指導者」になるための講習380時間以上を義務づけ、死亡事故がゼロであるのに対して、ある国が2〜3日の講習でインスタントに有段者を増やしていたとする。同時に、その国では過去20数年で110人を超える子どもたちが柔道事故で命を落としていたら、柔道母国ニッポンは、その国にどういう改善を求めるだろうか。
この〔仮定3〕は、なかなか答えにくい。なぜなら現実には、「柔道指導者」になるために「生理学」「解剖学」「救命方法」「精神教育学」など実に380時間以上の講習と厳しい国家資格試験を義務づけ、死亡事故ゼロなのはヨーロッパの柔道大国フランスであり、インスタントにみせかけの黒帯指導者を量産して、死亡事故を多発させているのは、柔道母国ニッポンだからだ。
と、フランスは300時間以上の講習と国家資格試験を義務付けることで柔道の指導者を育成することによって死亡事故を無くしているということらしい。
日本においてはどうしても「柔道=日本の武術」という考えにとらわれ過ぎな感があり、指導する教師がやっつけな黒帯でも生徒全員に一応の指導をしなければいけないと思い込んでいる節がある。
学校において柔道や剣道などの武術は特に指導資格を持った教師や外部の人間によって行われるべきで、適当な人材がなければ無理に体育の授業で取り上げるべきものでもないと思う。