@描かれているのは一千年後の未来。日本には九つの町があって人口は五万人から六万人。人間はそんなにまで死に絶えてしまうのか!と感じるのは私たち現代の人間。この物語の主人公・渡辺早季は「そんなにいるんですか!」と驚いてしまう。その九つあるなかの一つの町神栖66町で物語が展開するわけで。神栖ってのは茨城県に実際ある街の名前。そのころになると霞ヶ浦は琵琶湖より広くなっているらしい。帰る時間になるとドボルザークの「家路」が流れるのは千年経っても変わらないようで。
A人間のほかの生物で残っているのはカラスだとかネズミだとかウジだとかそういうちょっと敬遠したくなるようなものがしぶとい生命力を発揮しており、しかも巨大化。どのくらい巨大かを以下に引用
イッタンハエトリガミは、ラセンキリミミズの穿った縦穴を、糸を吐いて垂直に移動し、階層間を移動する。ツチボタルのようにうっすらと緑色に輝き、身体からべとべとする粘液を分泌して、光に誘われた羽虫や蝿がくっつくと、体側に三十センチおきにある口で捕食するのだ。体長は最大で十二メートルに達し、トウキョウオオコウモリのような大きな獲物がかかると、ぐるぐる巻きにして窒息死ささせるという。
たぶん映画化されるだろうけど、ちょっと観たくないような。
Bこの一千年後の世界で子供たちがどのように扱われているのかとか、橋本・アッペルバウム症候群となってしまう少年の運命とか、人間とバケネズミの関係はどうなってしまうのかとか、時間を忘れて上下巻あっという間に読めます。



